2006年発売、14.5cmウッドコーンウーファー搭載の2wayブックシェルフスピーカーで、Victorウッドコーンシリーズのフラッグシップ機。
発売当時の定価142,800円(税抜き)。左右セットで285,600円、現在の消費税で314,160円、純正スピーカースタンドLS-M5が定価税別74,550円と現在管理人が所有するスピーカーでは最も高価なものです。
後継機を出す事なく生産終了しているが、以降のVictorが販売したウッドコーン2wayタイプのラインナップはいずれもウーファー径が14.5cmに満たない小型のモデルで、販売価格も下回っているので現在に至るもVictorが製品化したウッドコーンスピーカーの最高傑作が本機である事は間違いないだろう。
ツィーターも木の振動板で徹底しており、そのせいかはわからないが楽器の高音域が稀に太いというか、高域なのに厚みのある打撃音を出す事がありこれは他のスピーカーでは絶対に出せない音だと思う。
Victorは「スピーカーは楽器でありたい」との考えに基づいて本機を製品化したと言っており、実際にその音は生の楽器に近い、暖かみのある音だ。
そしてその見た目も高級な楽器のような佇まいで、スピーカーは楽器でありたいというVictorの願いが見た目からも感じられます。
この見た目の良さは大変素晴らしい物で、音良し見た目良しで、高級家具や楽器と並べても違和感のない、インテリアとしても大変優秀でユーザーの所有欲を満たしてくれます。
音の全体的な印象としては圧倒的にウォーム系で、高音域は出てますが丸いので刺激の少ない優しい音です。
リアバスレフでダクトは2つあります。このダクトで低音を補強してる訳ですが小さめのダクトを2つにする事で低音域のこもりを抑えてスピードのある低域をしっかりと出せるような工夫が見られます。
スピーカー端子はバイワイヤリング対応ですが、バイワイヤ接続するのかしないのかはお好みで。高音域を出したい、もう少しクリアーな音を出したいならバイワイヤ接続推奨ですが、私がA-1VLでバイワイヤリング接続、AVアンプのDENON AVC-X6700Hでバイアンプ駆動接続で試聴した際はキレイ過ぎる音になってしまい、ウッドコーン本来のコシのある濃い音という味→強みが薄れて仕舞うような印象になってしまった為、私はツィーター側にシングルワイヤ接続してジャンパーケーブルでウーファー側と繋いでいます。
本機は元々透明感のあるキレイな音を出すようなスピーカーではありませんし、一般的な高音質を謳うスピーカーとは異なるアプローチの製品ですので、オーディオの教科書的に正しいやり方で接してもそれが正解にならない、というような事が起きやすいかもしれません。
ONKYOのD-102EXGともある意味通じますが、本機も高音質を目指すのではなく音の味付けやキャラクターで勝負しているスピーカーですので、本機の奏でる音楽性が性に合えば一生付き合えるスピーカーと言えるでしょう。
2wayブックシェルフとしてはかなり低い帯域まで低音が出ますので、アンプとの相性次第では低音が出過ぎになるかも。その場合はシングルワイヤ接続であればウーファー側ではなく、ツィーター側に接続する事で改善したり、リアバスレフダクトにティッシュを突っ込む、背面の壁と距離を取る等で改善します。
スピーカースタンドは純正のLS-M5推奨。ONKYOやハヤミなど他のスタンドとも比較しましたが純正スタンドが1番音質良いです。低音の質が改善されソースによっては稀に感じられた些細な高音域のトゲが取れるなど、全体的な音の安定性が変わってきます。
刺激のない優しい音色で高音域も丸めてしまうので、電子楽器の多い最近の曲は向いてない印象。反面古い邦楽はgood。久保田早紀や岩崎宏美の曲を試聴してみましたが大変素晴らしい。
JAZZやオーケストラ、クラシックはかなり得意。
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ゆったりまったり系の曲を鳴らすには最高の音です。
しかし打ち込み系のアニソンや映画のサントラ等、デジタル収録の現代的なソースは電子楽器が多めのせいか不得意。特にハイスピードな打ち込み系になると、より低い帯域の低音を出してしまう兼ね合いで、低音域が重くなりがちでイマイチ。所謂ノリが悪い音になる。この手の曲は同じく超低音域をしっかり出す大型3wayも不得意な分野なので、聴く曲、聴きたい音で上手く使い分けが必要。
このスピーカーは何と言っても圧倒的なウォーム系で刺激のない優しい音色ですから、寝る前に寝室で音楽を聴くには最高のスピーカーです。
その音楽性に優れた音色は唯一無二で、飽きのこない音ですから一度入手したら手放す事ができない、一生付き合えるスピーカーと言えるでしょう。
総合評価 5(SS+)
項目別評価
デザイン ★★★★★5(SS+)
高音の質 ★★★★★5(特に評価が割れる項目)
中音の質 ★★★★★5(コクたっぷりの味付け)
低音の質 ★★★★★5(木楽器の低音素晴らしい)
量感(エネルギーバランス)
高域★★✩✩✩2
中域★★★★✩4
低域★★★★★5
超低音域★★✩✩✩2(このサイズとしては量感有)
歯切れの良さ★★✩✩✩2
音の明るさ★★✩✩✩2
色気/艶★★✩✩✩2
響き/リヴァーブ★★★✩✩3
丸さ/優しさ★★★★★5
刺激✩✩✩✩✩0
コク/味の濃さ★★★★★5
躍動感★★★✩✩3
アタック感★★★✩✩3
元気さ★★★✩✩3
スピード★★★✩✩3
熱い音/熱狂度★★★✩✩3(古い邦楽は◎)
解像度★★★✩✩3
ウォーム★★★★★5
クール✩✩✩✩✩0
癒やし★★★★★5
美音★★★★★5
音楽性の高さ★★★★★5
モニター✩✩✩✩✩0
再生環境(寝室/サブ機)
※SX-WD500の隣はQUAD 11L(後日レビュー予定)
QUAD 11Lもピアノブラックで見た目が大変素晴らしい。オーディオって見た目も大事。
プリメインアンプ∶ONKYO A-1VL
CDプレーヤー:C-1VL/C-7000R
スピーカーケーブル∶モンスターZ1R
RCAピンケーブル∶モンスターM1000I MK2/THX認定ULT-I800
スピーカースタンド∶Victor LS-M5(SX-WD500専用の純正スタンド)
電源ケーブル∶OYAIDE L/i50EXs、LUXMAN JPA-15000等
壁コンセント∶Pansonic医療用WN1318K
ギャラリー