ONKYOが2000年に発売したロングセラーの大型3wayスピーカー。発売当時の定価税別72000円。左右セットで144,000ですが、その後部材高騰を受けて税別110,000円(左右セットで税別220,000円)に。
シルクOMF振動板を30cmウーファーと12cmスコーカーユニットに採用。13cmシルクOMFウーファーのD-102EXGと同じ素材の振動板で、振動板の見た目も同じなのでD-102EXGはD-77MRXの同世代、兄弟機のような位置付けだと言って問題ないでしょう。
“ツィーターユニットは2.5cmアルミマグネシウム合金ドームと4cmバイオクロスコーンを組み合わせた複合型コンビネーションタイプを採用。高域再生範囲は60kHzまで伸び、パワフルな低域と均整のとれた厚みのある中高域再生を実現しています”
とメーカーHPに記載がある通り上から下までバランスが良い音で、A-1VLのようなパワフルなアンプで駆動すれば迫力ある低域を鳴らしてくれます。
フロントバスレフポートの影響もあるかと思いますが、大型にしか出せない超低音域を出しながらあまりもたつきも無く躍動感ある低域を出してくれるので、以外とスピード感が出ます。
この超低音域…体に体感できる低音を出せるかどうかがブックシェルフと大型3wayの決定的な違いでこの音が好きな人はブックシェルフの低音は偽物と感じて大型3wayにしか目を向けなくなる。
ただ、この超低音域が吉と出るか凶と出るかは聴く曲次第でオーケストラやクラシックなら得意でパイプオルガンの音なんかは分かりやすい超低音域です。
エルフェンリートのリリウムなんかは分かりやすいですね。パイプオルガンでめっちゃ超低音域出てるので。というかこのパイプオルガンの音は大型3wayでしか出せない。全然違う。
※YouTube等で検索すれば曲そのものは聴けますがCDの非圧縮音源でないと超低音域は出ません。
この曲一本で比較すると2wayブックシェルフの低音はそれっぽく表現はしてるけど本物感はない感じ。
リリウムは圧倒的にD-77MRXが良い。
結局、楽器が沢山あるのにそれを1つのスピーカーで全て再現するなんて不可能でどうしても得意不得意は出てくるんです。
実際、D-77MRXはハイスピード打ち込み系のアニソンや現代的なJ-POPは以外と鳴りますが、D-102EXGと比較すると見劣りします。。。サイズを考えればスピード出てる方ですがD-102EXGと比べるとスピードにブレーキがかかります。Adoさんのアルバムなんかは分かりやすくD-102EXGの方が断然良いです。スピードのある低音のパンチが気持ちいい。
キャロル・ウェルスマンのJAZZアルバムなんかはD-77MRXは合います。このアルバムだとQUAD11LやウッドコーンSX-WD500も良くなります。つまりゆったりまったり系で上品に聴かせる系の曲ですね。D-77MRXはSX-WD500程ではありませんが、D-102EXGよりはウォーム系です。
久保田早紀や岩崎宏美等の古い邦楽も相性良いです。つまりこのスピーカーも若干アナログっぽさがありレコードっぽい感じの音です。
その為、現代的なソース、電子楽器の多い曲は総じて微妙な印象でこの辺はD-102EXGやその後継のONKYO 2wayブックシェルフスピーカーの方が断然相性良いです。
元々これら古い邦楽が出ていた時代は大型3wayスピーカーの全盛期ですから、大型3wayスピーカー自体がそういう時代の曲が合うんじゃないのかな、という気がします。
また、D-102EXGのような2wayブックシェルフのフロントバスレフポートのスピーカーは部屋の反響音も利用する設計なので広い部屋では満足な低音が出ませんが、D-77MRXは広い部屋でも問題なく豊かな低音を出します。ただ裏を返せばこのスピーカーは広い部屋じゃないと低音がえらい事になりそうではある。
そのサイズからフロア全体を鳴らす感じなので、他の2wayブックシェルフのようにリスニングポジションにうるさくありませんので、作業しながら音楽を流すイージーリスニングには最適かと思います。
躍動感が足りぬとかもっとスピードをとか言いましたが私の評価が辛口なだけで、多分、世間一般的な評価では充分過ぎるクオリティで総合力、バランスで言えばこれ1つあればどうにかなるんじゃないかなって思います。何より大型3wayはそのサイズからくる圧倒的な存在感は魅力ですし、置いてあるだけで満足感得られます。
スペースさえ許せば、 現状低音に不満がある方はとりあえず大型3way買って置けば大抵の試聴環境でちゃんと低音出してくれるので、設置にシビアな2wayブックシェルフで四苦八苦するくらいなら大型3way買っておくのが大正解だと思います。
私自身もそれが理由で広いリビングに設置している2ch/ホームシアター兼用のフロントスピーカーにD-77MRX採用してますので。
結論
細かい事考えずにとにかく低音出したい奴は買え。
総合評価 5(SS+)
項目別評価
デザイン ★★★★★5(A+)
高音の質 ★★★★✩4(大人しい音。)
中音の質 ★★★★★5(アナログっぽい)
低音の質 ★★★★★5(豊富な量感で力強い)
量感(エネルギーバランス)
高域★★★★✩4
中域★★★★★5
低域★★★★★5
超低音域★★★★★5(パイプオルガンの音は本物)
歯切れの良さ★★★★✩4
音の明るさ★★★★✩4
色気/艶★★★✩✩3
響き/リヴァーブ★★★✩✩3
丸さ/優しさ★★★★✩4
刺激★★★✩✩3
コク/味の濃さ★★★★✩4
躍動感★★★★✩4
アタック感★★★★✩4
元気さ★★★★✩4
スピード★★★★✩4
熱い音/熱狂度★★★✩✩3.5くらい
解像度★★★✩✩3
ウォーム★★★★✩4
クール★★✩✩✩2
癒やし★★★★★5
美音★★★★★✩4
音楽性の高さ★★★★★5
モニター✩✩✩✩✩0
再生環境
(リビングにて使用。AVアンプとパワーダイレクト接続して2chとホームシアター兼用機として使用。2chの位置付けとしてはサブ機。)
プリメインアンプ∶ONKYO A-1VL
CDプレーヤー:ONKYO C-1VL/DENON DCD-755RE
SACDプレーヤー∶C-S5VL
スピーカーケーブル∶モンスターM2.2
RCAピンケーブル∶モンスターM1000I MK2/THX認定ULT-I800
スピーカースタンド∶ハヤミ SB-946
電源ケーブル∶OYAIDE L/i50EXs、LUXMAN JPA-15000等
壁コンセント∶Pansonic医療用WN1318K